「薄力粉」と「強力粉」の言葉の由来について疑問に感じた経緯
先日、「強力粉」という言葉をうっかりど忘れしてしまうことがありました。
一般的に小麦粉と呼ばれるものが「薄力粉」ということはわかっていたので、「薄力粉」の対称となる言葉だから、
「えーっと…、あれ?」
「高力粉?違う。」
「薄いの反対だから『濃力粉』?いや、やっぱり聞き馴染みがありません。」
それから数日経って、「強力粉」の言葉を忘れていたことすら忘れていたんですが、ようやく今日ふとそれが「強力粉」であることを思い出しました。
しかしながら、ここで一つの疑問を感じました。
それは「薄力粉」と「強力粉」の言葉の由来ですね。
「薄力粉」と「強力粉」の言葉の由来ってなんだろうか?
それぞれの言葉の由来には少々疑問に感じるところがあります。
それは「薄力粉」という言葉が最初にできたとしたら、「強力粉」という言葉は「濃力粉」となるだろうと考えるし、逆に「強力粉」という言葉が最初にできたとしたら「薄力粉」という言葉は「弱力粉」という言葉になるのではないかと考えるのです。
「薄力粉」と「強力粉」の中間にあたるのは「中力粉」という名前ですが、「中力粉」については意味的に理解できると思うので、今回は由来については一旦置いておきます。
この由来についてネットで検索してみると、
「木下製粉株式会社」という製粉会社がこの疑問について記事にしていました。その記事を読むと、「木下製粉株式会社」さんもこの由来についてネットで調べていたようですが、由来についてしっくりとくるものが見つからなかったということです。記事の以下の部分に説明が書かれていました。
しかし強力粉、中力粉とくれば次にくるのは当然、弱力粉であるはずです。また薄力粉を基準と考えるならば、薄力粉⇒中力粉⇒濃力粉となるべきです。「薄」は薄いという意味なので、その反意語は「濃」であるべきだからです。
ネットで検索してみると、同じ疑問を持たれている方は少なからずいらっしゃるようでしたが、ただその答えとなるとなかなかしっくりくるものが見つかりません。そこで前回同様(財)製粉振興会にお尋ねいたしましたところ、快くご回答いただきましたので、原文をそのまま紹介させていただきます。
https://www.flour.co.jp/news/article/323/
こういう場合、個人であればそこで調べるのをやめてしまうとこですが、やはり製粉会社ということで、消費者の疑問にしっかり応えようと、「(財)製粉振興会」という組織にお尋ねなっておられます。
その回答が以下の箇所ですね。
「中国では、用途から考えて、古代に小麦粉をグルテンの力で分類するという発想はなかったと思われますので、明治時代末期に必要上から自然発生的に生まれた言葉だと思います。製粉会社が販売の都合で名付けたのが、普及したのではないでしょうか。当時創業の大手製粉会社の社史を見ても、その辺のところは書いてありません。強力粉は自然というか当然の言葉ですが、それに対応する言葉として「弱力粉」では印象が悪いので、「薄力粉」と言ったのだと思います。製粉の先進国である欧米には、これらに相応する言葉も概念もありません。硬質小麦の粉および軟質小麦の粉と呼ぶか、パン用粉、ケーキ用粉、クッキー用粉などと呼びます」。
https://www.flour.co.jp/news/article/323/
該当箇所を読んでみると、「製粉会社が販売の都合で名付けたのが、普及したのではないでしょうか。」だったり、「当時創業の大手製粉会社の社史を見ても、その辺のところは書いてありません。強力粉は自然というか当然の言葉ですが、それに対応する言葉として「弱力粉」では印象が悪いので、「薄力粉」と言ったのだと思います。」だったりと、言葉の表現的にやや曖昧な表現が使われていることが見て取れるため、「(財)製粉振興会」という組織の見解でさえも、確定的な由来はわからないということなのでしょう。
正直なところ、由来が明確にわかったというわけではないので、物足りなさはあるのですが、今回由来に関して、そのヒントとなるようなことをたくさん知れたので良かったのかなと思います。
「木下製粉株式会社」の製粉に関する記事がものすごく詳しい
ここからは「強力粉」、「薄力粉」の由来に関するものとは少し異なりますが、今回この由来を調べたことで、「木下製粉株式会社」の製粉に関する記事がものすごく詳しいことに気づきました。
先ほど紹介した、「#323 薄力粉はなぜ弱力粉と呼ばないのか?」という記事は「#323」とあることからもわかる通り、製粉に関する記事がこの他にもたくさん発信されています。現在の最新の記事は、「2020年7月28日 #724 古代オリエントにおける麦作①・・・メソポタミアとエジプト」という記事になっています。その数724記事ということで、製粉会社としての製粉愛を感じずにはいられない情報量となっています。
Webサイトも可愛らしいイラストがあって比較的見やすいので、興味のある方はご覧になってほしいと思います。私も時間があるときに勉強してみたいと考えます。
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